インタビュー2013~前編_スパニッシュプログラム

2013年10月、ぺぺロメロ氏の自宅で採ったインタビューです。

2014年5月の来日公演に向けて、コンサートテーマに沿ったお話を頂きました。

巨匠自らの言葉で、各コンサートプログラムについての詳細や想いを語っています。

随分と昔の話もあって、兄君のセリン・ロメロ氏も同席しての楽しいおしゃべりに、時を忘れました。
年長のセリン氏が、昔話の~その想い出の正確さを補完くれました。


まずはじめに、5月18日~浜離宮朝日ホールでのコンサート【2つのスペインの夜】をテーマに伺ったインタビューです。

ペペロメロは2枚の「スペインの夜」と題されるCDを発表しています。
この2枚のCDから曲目を抜粋し、「スパニッシュギター最後の巨匠がスパニッシュギターの真髄を演奏し、巨匠の円熟した今日を堪能する」がテーマです。
客席数550席の小さなホールで、この日のために組まれたプログラムを、巨匠の演奏で楽しむ、という至福の企画。 スパニッシュ・プログラムの真髄をご堪能いただきます。

主に演奏プログラム(数曲抜粋ですが)について、語っていただきました。

ぺぺロメロ氏が、未だ日本で演奏していないプログラムが多く含まれるレパートリー構成は、大変に興味深く、正に巨匠の真髄を、そして充実した名人の今日を堪能する概要です。

その全ての曲目に、師でもあった父君セレドニオ、家族の面々~母上アンへリータ、兄君セリン、弟君アンヘル。
そして親友であった作曲者達~ロドリーゴ、トローバなどの愛しい思い出に溢れ、この巨匠の音楽が愛に満ち溢れ、聴衆を真の感動へと導く、この偉大な音楽家の本質に満ちた話を聞くことが出来ました。

このインタビューは、現代ギター誌2014年2月号に掲載された内容に、曲目の概要解説や、使用ギターについての項目を追記したものです。


●幻想曲ニ短調 (F・ソル)1778-1839 

[audio: Japan01.mp3|titles=幻想曲ニ短調]

【解説】古典期最大のギタリスト&コンポーザー、F・ソル。その膨大な作品群はクラシックギターの重要なレパートリーとして愛奏され続けています。
 そんな有名どころなので、未発見の曲が存在するとは考えづらかったし、また有ったにせよ、規模が小さいか、内容が充実していないか?とも考えられていました。
 この曲は、規模の大きい充実したコンサートピースで、まさかこんな名曲が未発見であったなどとは、まさに青天の霹靂でした。
 それがオークションに出品され、ぺぺロメロ氏が現代における初演権&出版権を獲得し、アルバム「スペインの夜」で発表したことは、センセーショナルなニュースとなりました。
 インタビュー中に、父君セレドニオの晩年~闘病期の話が出ていますが、父君に腎臓ガンが発見されたのを機にぺぺロメロ氏と兄君のセリン氏が、父君宅に同居し、晩年の日々を共に過ごされました。

(ぺぺロメロ:以下~P) : ソルはこの曲を弟子だったウゼ嬢(Eleve Mlle Houze)に捧げているんだ。
 非常にレベルの高い曲で、実に感銘深い、素晴らしい作曲だね。

 

私の友人で音楽研究科のジョン・キングが、この曲があるオークションに出品される、と教えてくれたんだ。
 そのオークションのカタログで見たところ、その楽譜はソルの手書きによるもので、最終頁にはソルのサインがあり、全体で18項の規模だと分かった。

 

そして私は現代における初演の権利を得た。
 ソル自身がこの曲を演奏したかどうかは定かではないが、その自筆譜にはソル自身による運指が書き込まれているんだ。多くはないが、いくつかね。

 父がこの曲と恋に落ちてねぇ。最晩年、パパのベッドサイドに付き添う折、私はパパの為に毎晩演奏した。灯りを消してパパが眠れるようにしてね。この曲もよくリクエストされたよ。
 あとは、ミラン幻想曲16番、バッハのヴァイオリンパルティータ2番、シャコンヌが入っている組曲だね、こういった曲を好んでリクエストしたよ。

 パパは、私達兄弟を賜れたのは、誕生の時に私達の為にギターを演奏したからだと信じていて、なので自分が召される時は息子達にギターを弾いてほしいと願っていた。

 

私はパパを送るのに、その3曲、ミラン幻想曲16番、バッハのヴァイオリンパルティータ2番、そしてこのソル幻想曲を弾いたんだ。


●セヴィリャーナ幻想曲 作品29 (トゥリーナ) 1882-1949

[audio: Japan02.mp3|titles=セヴィリャーナ幻想曲]

【解説】フラメンコテイスト溢れる作品群で、スパニッシュギターのレパートリーとして愛好されるトゥリーナ。その中でもこの曲は、華やかなラスギャード(フラメンコ的掻鳴奏法)とエキゾチックな雰囲気で、非常に人気のある曲。
 2012年発売のアルバム「スパニッシュナイツ」で収録されましたが、名手ぺぺロメロが、どうしてこの曲を今まで演奏していなかったのか?と不思議に思われていました。
 巨匠アンドレス・セゴビアによって世界的人気を博しました。セゴビアの演奏は【ショット出版社】から発売されている楽譜で、通常はこちらが知られています(というか、こちらしか知られていない)。
 ぺぺは作曲者の自筆譜によって演奏しています。

(P): トゥリーナは出身地であるセビーリャを深く愛していた。
 彼は印象派的作風をもつ作曲家として知られるが、熱狂的なフラメンコ愛好家でもあった。
 マヌエル・デ・ファリャやガルシア・ロルカと共に、1922年のフラメンコ・コンクールを開催した主催者の一人でもあった。

 

この曲のオリジナル版は、沢山のラスギャードを含んでいる。幸運なことに私は、トゥリーナの娘、ウブドゥリアから、とても素晴らしい女性だよ、彼女から手稿譜のコピーをもらったんだ。
 それには運指も記されていたよ。

 

それは初版された出版譜とおおむね同じだよ。ダニエル出版で、初期にとても少量の出版だったようだ。
 後のショット版とは大いに違い、フラメンコ奏者達が使うアルペジオとラスギャードを多く含んでいる。

 

私はCD「Spanish Nights」のレコーディングでこの版を演奏したんだ。


●ソナティナ (F・M・トローバ) 1891-1982

[audio: Japan03.mp3|titles=ソナティナ]

【解説】トローバはサルスエラ(スペイン版オペラ)の巨匠で、セゴビアからの委嘱や、ロメロ一家との友好により、多くのギター曲を作曲しています。
 その作風は、スペイン中央部~カスティーリャ&ラマンチャ地方の風土色に溢れ、フラメンコ&アンダルシア(スペイン南部地方)色に支配されやすいスペイン音楽とは、大いに色彩感の異なるものです。
 このソナチネは、大作曲家ラヴェルをして、「若さがないと書けない見事な作品」と言わしめ、ラヴェル自身にも「ギター曲を作曲してみたい」と言わしめた名曲です。(逝去により未実現でしたが)
 3曲からなる組曲で、見事な作品です。
 「セヴィリャーナ幻想曲」同様、名手ぺぺロメロが、どうしてこの曲を今まで演奏していなかったのか?と不思議に思われていた曲。その真相が明かされます。

(P): この曲は私が深く愛する曲のひとつで、とても小さい頃に父が弾いているのを聴いていたのを覚えているよ。だから大変に古い想い出のひとつだね。今私は69歳だから、少なくとも60年以上も前の話さ。
 だけど父の演奏は、昨日のことのように覚えている。素晴らしくゴージャスな演奏でねぇ。

 

私達兄弟がケンカにならないよう、我が家にはルールがあった。それは、曲の所有者を決めるんだ。この曲はセリンの、これは私の、あの曲はアンヘルの、ってね。
 そして許しを得ない限り、その曲を弾いちゃいけないのさ。

 この「ソナティナ」は、セリンの曲なんだ。少年だったセリンが父から習っていたあの時代から、私はこの曲が大好きだったけど、自分で練習し始めたのは、近年なんだよ。この曲についての私のコンセプトは、父とセリンの演奏解釈のミックスだね。

 

父の病床で、父はこのソナティナも聴きたがった。なのでセリンは毎日、このソナティナを弾いていた。私はバッハを。

 

この曲の初演はフランスにおいて、アンドレス・セゴビアによって行われたんだけど、リカルド・ストラウスも列席したんだよ。マドリッドのトローバのスタジオには大きなリカルド・ストラウスの写真と祝辞が飾ってあるよ。「フェデリコ・モレノ・トローバへ捧ぐ~崇高なる作品”ソナティナ”をおめでとう」とね。


●ラマンチャの調べ (F・M・トローバ) 1891-1982

[audio: Japan04.mp3|titles=ヘリゴンサ]

【解説】アルバム「スペインの夜」収録。ドンキホーテの舞台、ラマンチャ地方の風土色に彩られた名曲。情景描写性に優れ、サルスエラに於いても、ギター協奏曲に於いても、見事なオーケストレーションで多彩な色彩感を書き上げた大作曲家の息吹に溢れる名曲。
 5曲の商品から成り立つ組曲で、各曲のタイトルが、正にその曲を表しています。
 1曲目の「ヘリゴンサ」の牧歌感から、終曲「セギディーリャ」のきらめく高速スケールまで、名人ぺぺロメロの本領が堪能できる曲です。

(P): ラマンチャはカスティーリャとアンダルシアに挟まれた一帯だね。セルバンデスがドン・キホーテの舞台に選んだ地域だ。


 

トローバは多くのスペイン的作品群を残したが、この「ラマンチャの調べ」は、ドンキホーテのスペインの精神を象徴するような様々なドンキホーテの登場人物達や、舞台となった古い村々へのトリビュートなんだ。

 

ロマン派的なたたずまいと美しいメロディー、トローバの傑作の一つだね。

(田代/T):ドンキホーテにはお母様との思い出がありますね?

(P):7才の頃、母は私にスペイン語の「綴り」を習わせる目的でドンキホーテをテキストにしたんだ。

 

私達はよく、物語の内容について話し合ったよ。
 それは12歳の時まで5年間続いてドンキホーテを完遂したんだ。
 今でもその本を持っているよ。後で見せてあげるよ。


●ロス・マエストロス (C・ロメロ) 1918-1996

[audio: Japan05.mp3|titles=ロス・マエストロス]

【解説】父君セレドニオ氏は、作曲作品も多く残しました。その多くは、自らと、そして息子達へのレパートリーにとプロットされました。
「スペインの夜」に収録されています。輝かしいテクニックで華やかに終わるコンサートピースです。
 またセレドニオが末期ガンと戦う中、録音された最後のCD「ギターの詩人」(弊社輸入CD)にも、自らの素晴らしい演奏が収録されています。(メインメニュー>オリジナルCDにて試聴可能)

(P): ロス・マエストロスは、3楽章からなる組曲で、私達3兄弟に向けて作られたんだ。

 

3つの楽章は一定したペテネーラ(フラメンコ形式)で作られているが、皆同じ形式なのに、大きく異なる楽章となっている。

 

各楽章は、3兄弟それぞれに宛てられているが、父はどの楽章が誰へのものか、とうとう明かさなかったんだ。とても美しく、かつ技巧を誇示出来るようなこの曲は、父の私達への愛に溢れているよ。

(T):ロスマエストロスは兄弟に喧嘩をもたらしましたか? 第何楽章が自分のだ!って。(笑)

(P):(笑)いやいや、ないよ!私達はいろんな原因で喧嘩するけどね!ギターや葉巻や、様々なことで!(笑)
 だけどギターを手にして演奏を始めれば、いつも喧嘩なんて吹っ飛んで行ってしまうんだ!魔法のようにね。

 

音楽はどんな時でも心を一つにしてくれる。今でも変わらずに、そうなんだよ。私達は子供の頃からずっと共にいて素晴らしい時を、人生を共有して来たんだ。


●マドリレーニャ組曲 (C・ロメロ) 1918-1996

[audio: Japan06.mp3|titles=アニョランサ]

【解説】CD「Spanish Nights」で、初録音された組曲。往年のマドリッドの息吹が感じられる、何とも「粋」な組曲。

(P): 父は組曲を私たち兄弟にそれぞれ送ってくれている。

 

「アンダルシア組曲」を私に。「マドリレーニャ組曲第2番」をアンヘルに。そして、この「マドリレーニャ組曲」はセリンに捧げられている。

 

晩年、父はセリンの肖像画を描たのだけど、描いている間、セリンが小さい子供の頃にマドリッドへ連れて行った想い出を回想したんだ。それはサントス・エルナンデスの新しいギターを受け取りに行く旅だった。

「アニョランサ」は、セリンが子供だった頃を回想する父の胸に去来するノスタルジアがテーマになっている。この曲は、数多い父の作曲作品の中でも私のお気に入りでね。
ロマン派的性格の強い曲だ。

 

父はドイツロマン派の作曲家達が好きだった。シューマン、ブラームス、シューベルト、ベートーベンなどだね。
 この「アニョランサ」は父がシューマンを好んでいたことを思い起こさせるよ。

第3楽章~エル・チョティス・デ・ラ・ボンビーリャ。

 

チョティスとは昔マドリッドで流行したダンスだよ。男女が輪になって踊るんだ。男性は帽子をかぶってね。
 この踊りの場は、多くのスペインの若者達にとって、出会いや恋の機会でもあり、集う若者皆が典型的な「イベリアの恋人達」だったのさ。

 

晩年、父はセリンの肖像画を描いたんだ。そこに書かれたセリンは、若くハンサムで魅力的に描かれたんだけど、それはこの「チョティスに集う女たらしのマホ(小粋な男)達」のイメージなんだよ。

最後の楽章は、FIESTAは、その名の通り パーティーのイメージだよ。


●ファンダンゴ「3つのスペイン風小品より」 (J・ロドリーゴ) 1901-0999

[audio: Japan07.mp3|titles=ファンダンゴ]

【解説】アランフェス協奏曲の作者として名高いロドリーゴは、ギター独奏曲の素晴らしいレパートリーも残してくれました。
 ロドリーゴは、ぺぺロメロ氏とは親友で、あらゆる意味で「最も信頼したギタリスト」であるぺぺとその音楽を愛しました。

 この「3つのスペイン風小品」はパリ国際ギターコンクールの作曲部門に、既に巨匠だったロドリーゴが、偽名で応募した作品で、見事グランプリを獲得~その後、自身の作であることを明かし、世界中を驚嘆させました。
 第1曲「ファンダンゴ」が今回、抜粋して演奏されますが、その音楽的解釈について、音楽の本質を見据えた話を聞くことが出来ました。

(P):  ロドリーゴはゴヤの時代の文化を好んでいた。マハやマホの時代さ。
 ファンダンゴはこの時代のダンスだ。1800年代初期に大変人気があったリズムだよ。ゴヤが描いていたような服を着て踊るんだ。

 

ロドリーゴは、グラナドス(19世紀スペイン作曲家の重鎮)のオペラ、「ゴジェスカス(ゴイェスカス)」も好んでいた。
 この曲は、この「ゴイェスカス」の中の「燈し火のファンダンゴ」に触発されたものだよ。

 

それは典型的なファンダンゴで、大変に荘重な舞曲で、スペインのメヌエットによく似ているね。
 非常に力強く律動的なリズムでね。

 この曲を始めてロドリーゴの前で弾いた時のことをよく覚えているよ。
 その演奏はね、テンポが速かったんだ。

 

それを聴いたロドリーゴはね、あのヤギみたいな声で、

 

「ぺぺー!私はこの曲を”ファンダンゴ”って呼んでるんだよ!そんなに早くちゃ、”ファンダンギージョ”って呼ばなきゃならないじゃないか!」って言ったのさ!(笑)

 

彼はあくまでも、このファンダンゴは「荘重でリズミカルで力強く、どっしりと地に根差したような踊り」であるべきと考えていたんだ。
なので、決して速いテンポではいけないってね。私のとびきりお気に入りの曲さ。


●幻想曲16番 (L・ミラン) 1500-1561

[audio: Japan08.mp3|titles=幻想曲16番]

【解説】スペイン宮廷音楽家であったミランは、極めて早い時期から作品集を編纂し発表するなど、大いに活躍した音楽家でした。
 現在でも、スペイン・ルネサンス期の重要なレパートリーとして演奏されることの多い作曲家です。
 ロメロ氏は、この「幻想曲16番」を複数回録音しています。
「スペインの夜」が初録音。
 その解釈をめぐって、インタビューに語られた思い出があり、セレドニオの死後、オマージュしたCD「父の教え給いし歌」で2度目の録音。
 そして「スペインの心」(弊社輸入CD)(メインメニュー>オリジナルCDにて試聴可能)で3度目の録音と、この曲はぺぺロメロ氏にとって非常に大切な曲でもあります。

(P): ロドリーゴは古いヴィエラ音楽を好んでいた。その中でもこのミラン「幻想曲16番」が最もお気に入りだった。

 

それは父も同じでね。 父の病気が分かった日、私とセリンは父と同居することを決心したんだ。それから毎日、父と3人でギターと音楽の話を沢山して過ごし、毎日ベートーベンの交響曲9番を聴いた。
  今いるここに、正にこうして3人で座り、とても熱心に、真剣に議論したものさ。

  ある日、ここで私はミラン幻想曲16番を弾いたんだ。それを聴いて父は「速すぎるよ」と言った。

 

で私は「いやパパ、ミランはレドブレは設定テンポより随分速く演奏するように、って言ってるよ」と。

 

するとパパは「その通りだよ。だけどそれはミランの第2集版に記された指示だよ。
この幻想曲16番は第1集に収録されたものだから、その解釈は当てはまらないよ」と。

 そこで皆で本を見に行ってみると、父の言うとおりだったんだ。
 この曲はミラン後期の作曲作品でね。

 

なので私はCD「父が教えた給えし歌」に再録音した演奏は、以前と解釈が異なるものなんだよ。

  父が息を引き取った晩、父は疲れ切っていたけれど、私に沢山話をしてくれた。
それは私にとって非常に貴重なものだったよ。

 

その中で父は、
「コンサートで私の助けが必要ならミラン幻想曲16番を弾きなさい。
 お前が弾くのを聴いたら、私がどこの星にいたって、すぐにお前のもとに飛んで行って、共にいてあげるよ」と。
(右写真はご両親の墓所です)

 そして東京でのコンサート(5/18~浜離宮朝日ホール)もこの曲で始めるよ。
 それは父セレドニオの魂を呼び寄せ、コンサートに集う皆さんと共に愛を分かち合うためだよ。


●ぺぺロメロ氏の日本への想い

(P): 日本で演奏することは私にとって精神的にとても喜ばしいことなんだ。
 日本の皆さんのギターへの情熱と愛情には、常々敬服しています。
 だから来年5月、日本を再訪し演奏出来ることはこの上ない喜びだよ。

 

2011年の大災害後、初の日本公演とは思えないんだ。なぜなら、あの日以来、私は多くのコンサートで、哀しみと、そして復興への祈りを込めて演奏していたからね。

 

私が心から愛する日本の皆さんに、あのような惨事が起こらないよう願っているし、祈ってもいる。本当に一日も早い復興を願ってやまないよ。

 

今度の東京公演が特別な意味を持つことは、様々な面で確実なことだし、愛しい多くの日本の皆さんと分かち合いたいと願っているよ。

●使用予定ギターのご紹介

当コンサートは、ぺぺロメロ氏の息子で、ギター製作家として世界的名声を築いている「ぺぺロメロJr氏」製作のギター~【No.166】"La
Wonderfulita"が使用される予定です。

ぺぺロメロの数多のレコーディング&コンサートで、その名演を支えた究極の銘器~スペイン・コルドバのギター製作家、ミゲル・ロドリゲスの手による、1976年製の作品、”La
Wonderful”。(右写真)

その愛称は、作者ロドリゲスが、多くの知人から「ぺぺの新しいギターは"Wonderful"だ」と言われ、英語を解しなかったロドリゲスは、後日ぺぺロメロ氏に、「ぺぺ、"Wonderful"って、何の意味だ?」と尋ねた、とのエピソードから命名されました。

杉&ハカランダによるギターで、ぺぺロメロの究極の1本、のひとつ。私ペペ田代が知る、世界最高のギターでもあります。

今回使用される"La Wonderfulita"は、このギターをモチーフに、2009年に製作されたもので、その仕上がりの良さに、ぺぺロメロ氏により命名されました。

表面板はレッドウッド(セコイア)。大変な巨木で、はるか昔、アメリカではダムをせき止めるのに、この巨木を大量に並べて杭状に打ち込み、「堰」として利用していました。
 数百年に渡り水中にあった巨木は、ダムの近代化に伴い撤去されましたが、その古木を利用して楽器製作が試みられています。
 このギターも、正にその「木」。数百年の時を超えて現代に美音を響かせます。

側・裏板の中南米ローズウッドが、ゴージャスで華やかな音響を加え、スムースで甘く、力強いサウンドをプロデュースします。

     

インタビュー2013~後半もお楽しみください。トーレスについてのインタビューです。

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