パパ(ぺぺロメロさん)宅の滞在記の第7回。
今日は23日(月)の夜です。
話題は、パパが「フィリップス(レコード会社)」時代、殆どのレコーディング&重要なコンサートで愛用したギターの話です。
スペイン・コルドバの製作家、ミゲル・ロドリゲス、1973年のギターです。
杉・ハカランダ・660mmの仕様。
私は数限りなく「銘器」を弾いてきましたが、人類史上最高のギターだと思います。パパも同意見。
ロドリゲス独特の、美しく精緻なロゼッタ。
素晴らしいギターには「名前」を付けます。
このギターが出来上がり、パパが使用し始めた暁。
その演奏を聞いた多くの人たちが、製作者のロドリゲスに、「ぺぺの新しいギターは、本当に”wonderful”だね」と言ったことから、
”La Wonderful”という名前になったそうです。
稀代の名人によって弾き込まれた、至高の製作者による最高傑作。
そのサウンドは、正に”ワンダフル”としか言いようのない境地。
「ゆっくり弾きたいだろうから」と、一晩、私が宿泊させていただいた部屋にお借りしました。暗くて写真が美しく撮れませんでしたが、御容赦ください。
優れたギターを弾くと、「教えを受け、導かれます」。ギタリストは、常に「ギター(楽器)」にそれを求め、学び続けるのだと思います。
早朝、昨年の滞在時に続き、このギターの再会して、じっくりと弾きました。感じたこと、学んだことは:
「心を開いて、音楽に身をゆだねれば、常に正しいところに導いてもらえる。だから、自分は何もしなくてもよいのだ」
ということを、思い出しました。
これは、以前から知っていること。
でも、もっとも難しいこと。
人は、【欲しい】【得たい】【したい】【されたい】としがちですが、パパは真逆で、【与えたい】【してあげたい】と生きていらっしゃる方なんです。
で、このギターを弾いていると、自分の精神が、「如何に欲に満ちているか。そしてその”欲”が心を惑わせ、人生を苦しめるのか。そして、どうすれば解放され、より高い精神を実現できるのか」を、実感させてくれます。
これこそが、「銘器~崇高なる存在」なのだと思います。それをパパに言ったら、「お前は、”La Wonderful”から素晴らしいレッスンを受けたね。その通りなんだよ。これでまた、より良いミュージシャンになれたね。おめでとう」と言って頂きました。
涙が出るね、ホントに。
裏&側板は、サップウッド(白太~白い部分)の大きく入ったハカランダ。日本のマーケットは白太を嫌う傾向がありますが、良いギターに、そんなことは何の関係もありません。
パパの息子で、ギター製作家のぺぺロメロJr氏が、私用に作ってくれたギター【#166】です。
表面版を、昨年行ったときに決めておいて、あとは「その板と、神様のお導きのままに作って欲しい」とだけお願いしていました。
言いませんでしたが、私のイメージは、”La Wonderful”でした。
仕上がってみると、私がギターに求めるもの、全てがこのギターの中にありました。
大量の銘器コレクションの中で、弾き比べたわけですが、パパもセリンも、:
「お前に一番合っているね」
「Wonderfulと、とても良く似ているね」
「リトルペぺの最高傑作の一つだね」
と。私もそう思いました。
出会った瞬間に、恋に落ちましたし、「私のために遣わされたギターだ」とも確信しました。
パパと何日か考えたすえ、名前は ”La Wonderfulita”になりました。パパが名前を書いてくれました。